親の老いを受け入れるということ 2

患者さんMさんの、おばあちゃまのお話です。

戦争でご主人を亡くされ、まだ、女の子2人を一人で育てられた方です。
患者さんのお母さんは、とてもお母さんを大切にされ、寝たきりしなっても
家族みんなでおばあちゃんの介護をされました。

たくさんエピソードをお聞きしましたが3つほど紹介します。

① ある日おばあちゃんは目が覚めると、いつもになく早く着替えさせてほしいとせ  がむのだそうです。
   『早くお着替えしないと幼稚園に遅れちゃうから。はやく、はやく』
  おばあちゃんは、自分が幼稚園児のつもりだったんです。
  だから、
   『はいはい、お着替えしようね。遅れちゃうもんね。』
  と、Mさんはちゃんとおばあちゃんの物語に合わせてあげたんだそうです。
  ちゃんと着替えさせてあげると、寝たきりで動けないけれど、安心して落ち着いたのだそうです。
 
② ある日の朝、起きているはずなのに目を開けないで、ジーとしているので、
  『おばあちゃん、どうしたの?』と声をかけると
  『今日はあれだから具合が悪いの。お休みするから。。。』
  『えっ?あれって?』と尋ねると、
  『シィー…大きな声で言わないで、あれよ、あれ。。。』
  祖母は生理のつもりなんですよ。えええ。。と思いましたけど、なんか笑っちゃうんですよ、言い方がかわいくて。
  『そうなの。じゃあ、ゆっくり寝ててね。』と声をかけると、コックリうなずいたそうです。

③ これも朝の出来事。
  『Mちゃん、そっとベッドの下見てごらん。夕べ、イノシシのブー子が一晩中暴れて大変だったのよ。今は疲れてベッドに下で寝ているはずだから見てごらん。』と。Mさんは、ちゃんとベッドの下をのぞいて、
  『ほんとだね、寝てるね』と合わせてあげたそうです。

とんちんかんな会話だけど、とてもかわいいおばあちゃんだったから。
大変だったけど、笑ってしまうんですよ、みんな。
家族で、おばあちゃんの物語にあわせて、笑いながら介護ができました。
と、おっしゃっていました。

その後6年間今度は病院で、Mさんのお母さんとお母さんのお姉さんが交代で寝泊まりして、最後まで介護されたんだそうです。
お母さんは、
『家族はほんとに大変だったと思うけど、私はお母さんのベッドでテレビを見たり、二人っきりでお話したり、今思えば楽しかったわ。』とおっしゃいました。

ううん……。うなりました…。
ただただ、うなりました。。。
あまりにも、深くて大きい愛情の在り方を、目の当たりにして言葉になりませんでした。

(このお話は、Mさんから、許可をいただいて、書かせていただきました。)

  
  
  
 


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